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インプラント

インプラント周囲炎

2014.05.19

はまだ歯科医院のHPへお越しいただきありがとうございます。

 

さて、今回のブログのテーマはインプラントにおこる歯周病「インプラント周囲炎」

についてです。

 

開業してまだ数週間ですが、歯ぐきの検査をさせていただいた患者様の中に、

インプラントの部分の歯肉だけが腫れてしまっている方が

数名いらっしゃいましたので今回はこのテーマについて

2回にわけて書いていこうと思います。

よろしくお願いいたします。

 

インプラント周囲炎の概念は「Peri-implantitis」という病名で世界的に知られていましたが

日本でも近年、急速にその概念が普及してきました。

それだけお悩みの患者様が多い事の現れでもあるのだと思います。

 

はたしてインプラント周囲炎とはどのような病気なのでしょうか?

 

まず簡単に歯周病についてです。

 

歯周病(以前は歯槽膿漏と言いました)は歯に付着している細菌の塊

(デンタルプラーク、歯垢、最近ではバイオフィルムと言います)がもたらす

ある種の感染症!!です。

 

口腔内はたくさんの細菌で溢れかえっています。

その中でも歯周病の原因菌といわれる菌は、有名どころで数種類存在しますが、

これら歯周病原因菌とご自身の免疫機能が戦い、

歯肉は結果として赤く腫れぼったい状態になります。

 

歯肉に限局してただ腫れているだけの比較的初期の段階を歯肉炎と呼びますが、

歯肉炎を放置しておくと歯面に沿って細菌が侵入し

歯を支えている周りの組織(歯周組織)に回復不可能なダメージを与えてしまいます。

つまり歯根膜、セメント質、歯槽骨を破壊していきます。

人の噛む力はおよそ自分の体重程度の負荷がかかるといわれていますが、

歯は頑丈な骨が支えていることで守られています。

その歯槽骨が溶けてしまうと、歯は支えがなくなりいずれ脱落してしまうのです。

 

 

(日本臨床歯周病学会HP参照)

 

左は健康な状態です。

右は歯周病に罹患し、アゴの骨が一部不規則な形に溶けています。

 

さらに、歯周病の怖い所は一本の歯だけに起こるわけではありません!

 

昔は歯が丈夫だったのにいつの間にか総入れ歯になった・・・

という患者様がいらっしゃいますが歯周病はお口の中全体の歯で起きます!

 

つまり1本の歯が動揺している場合他の歯でも同じ症状が起きている可能性があります!

(もちろんその歯だけ。という場合もあるのですが・・・)

 

さらに、歯周病は進行した状態でないと自覚症状を伴わない場合が多いとされています。

 

どこかで止めてあげる治療が必要となります。

 

話はそれましたが、歯周病治療に関しましては後日また書くこととし、

インプラント周囲炎に戻ります。

 

インプラントは歯を失った部位のアゴの骨にいわゆる人工歯根といわれる

チタン製のネジを植え込み、それを土台とし歯の冠の部分をたてる治療法です。

 

 

 

歯周病が歯面にそって進行するように、インプラント周囲でも細菌が入り込んで周りの

歯肉が腫れてしまいます。(インプラント周囲粘膜炎)

これを放っておくとインプラントに沿って感染が進行しインプラントを

支えている骨が喪失します。この状態がインプラント周囲炎です。

 

世界中には数百種類のインプラントメーカーがあるといわれていますが

基本的な概念は同じです。

 

一昔前はインプラントは夢の治療方法だと思われていました。

ほぼご自分の歯と同じような感覚で噛む事が出来ますし、人工物ですから

当然むし歯になることもありません。

インプラントはすごい勢いで世界中で臨床応用と基礎研究がすすみ、

次第にその適応症例がどんどんと広がっていきました。

 

さて、

 

世界初の臨床応用されたインプラントの患者様は先天的に歯がない方に行われました。

(ここ重要です!!)

 

つまり、

お口の中に悪さをする歯周病菌はいなかった!!

のです。

 

ですので、インプラント治療後、長い期間調子がよかったというわけです。

 

そして、次第に歯周病で歯を失った患者様にも

インプラント治療が応用されるようになりました。

歯周病の患者様に対するインプラント治療はたくさんの論文から

その有用性が証明されています。

極端な言い方になるかもしれませんが、私が読んだ事のある論文のなかで

歯周病の患者様にインプラント治療を応用することに否定的な論文はありません。

 

ただし、これらの論文にはある共通の一定の文言が必ず入っています。

 

それは・・・

 

「残りの歯に対する歯周病の治療を徹底的に行ってからインプラント治療を行う」

 

という趣旨の文言です。

 

次回インプラント周囲炎についてもう少し書いていきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

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記事の執筆・監修者について

初台 はまだ歯科・矯正歯科
院長 濱田啓一

東京医科歯科大学大学院博士課程を修了後、大学院講師や総合病院での歯科口腔外科長などを歴任。歯科医師として様々な経験を積んだ後、初台はまだ歯科・矯正歯科を開院、院長就任。

<所属学会・研究会・団体>
日本口腔インプラント学会、R.V.TUCKER Study Clubs、米国保存修復学会(アメリカの虫歯治療の学会)、日本口腔外科学会、日本審美歯科学会、インプラント再建歯学研究会

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