ラバーダム防湿という言葉を聞いたことはありますか?
ラバーダム防湿とは、根管治療のみならず、虫歯の治療を行う際にもなくてはならないものです。
根の病気を専門的には根尖性歯周炎と言いますが、この根尖性歯周炎の原因は細菌であることが、1965年頃から明らかになっています。
以前もお伝えしましたが、野生のラット(細菌が存在している)と、無菌の(細菌がいない)ラットを使って歯にわざと穴を開けます。→虫歯で穴が開いている状態を人工的に作ります。
この歯を1〜42日間観察を行ったところ、野生のネズミでは歯の神経が死んでしまい根の先に病気を作る一方、細菌がいない無菌のネズミでは同じ条件にも関わらず神経が死ぬことはなく、むしろ穴を塞ごうとする再生能力が観察されました。
このことから、根尖性歯周炎の治療ではいかに無菌的に治療を行うかが非常に!!!重要になります。どんなに高価なお薬を使っても、何度も治療に通っても、”無菌的な治療”ができていなければ病気は治らないのです。
ですので”無菌的治療”は虫歯を取る治療を行う際にも当然必要になってきます。
根管治療の世界で最も権威のある学会の一つアメリカ歯内療法学会(AAE)の治療指針では、ラバーダムの使用はいかなる虫歯の治療においても重要不可欠であるとしています。またラバーダム防湿は口腔常在菌の根管内への侵入を防ぐ意味で最も費用対効果の高い予想処置であるとしています。
日本国内では未だ使用率の低いラバーダムですが、ラバーダムを使用しない根管治療や虫歯治療は似て非なるものといっても過言ではないかもしれません。
ラバーダム防湿は口腔粘膜と治療する歯を分離することが可能となり結果的に口腔粘膜では負けてしまうより強力で適正な濃度の消毒剤を使用することができます。消毒には過酸化水素水(→オキシドールの濃度の濃いものです)と、イソジンを使用します。
ラバーダム自体は過酸化水素水を2分適用した後に、イソジンを1分作用、歯の方は同じく過酸化水素水を3分、イソジンを1分作用させると無菌になることがわかっています。
Microbiological examination of the root canals and periapical tissues of human teeth. Methodological studies. Odontol Tidskr 1966;74:1-380. Möller ÅJR.
唾液に触れていた歯や仮封材の確実な消毒を行いたいので、このような高濃度の薬液を使うためには結局ラバーダムを設置しなければできないことになりますね。
当院では、↓このような感じでラバーダム防湿を行って顕微鏡下で治療を行っております。
歯の事でお困りのことがございましたら、当院へご相談ください。