平素より初台 はまだ歯科・矯正歯科をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
今回は大臼歯に連続してみられた根尖部透過像(根の先の影)に精密根管治療を行なった症例を供覧いたします。
患者様は40代男性です。
全体の検査をご希望され当院を受診されました。
初診時の左下67番のレントゲン写真です。
左下6番に膿の出口であるサイナストラクトを認め、左下6番遠心根〜左下7番に巨大な透過像を認めます。
透過像は7番を中心に形成されているように見えますが、サイナストラクトが6番に出現していたため左下6番を原因歯と判断し精密根管治療を開始いたしました。
左下6番根管治療後のレントゲン写真です。
透過像は縮小しているようにも見えますが、残念ながら6番の治療のみではサイナストラクトの消失には至りませんでした。
左下6番の治療後に撮影したCT画像ですが病変の大きさが確認できます。
左下7番治療後のレントゲン写真です。
透過像は残存していますがサイナストラクトは消失いたしました。
補綴後の写真です。被せ物が歯にピッタリと適合していることが確認できます。
術後のCT画像です。根尖部に認めた透過像が消失しているのが分かります。
前医で根の先の病気(レントゲンの透過像)が大きいので抜歯しましょうと説明を受けられている患者様は多いように思いますが、病変の大きさは抜歯の理由になりません。病変が大きくても治る時は治りますし、明らかな病変をレントゲンで認めなくても激しい疼痛症状であったり、外科治療まで必要な場合もあります。
病変の大きさでは判断せず一度は歯の保存治療をご相談いただくのが良いと思います。
また、病変が大きいまま抜歯をした場合には予想以上に骨を失う場合も多く、抜歯後にインプラントを行うにしても難しい条件となってしまいます。抜歯の判断はその後の治療を見据えたものでなければなりません。
最後までご覧いただき誠にありがとうございました。
治療費
初回コンサル11000円/30分
大臼歯再根管治療 165,000円/歯
ジルコニアオールセラミッククラウン 110,000円
ゴールドクラウン 132,000円
治療費合計 572,000円
精密根管治療は根尖性歯周炎の治癒を保証するものではありません。
再治療の場合おおよその治癒率は70%と報告されています。
根管治療のみで治癒しない場合には外科的歯内療法が必要となる場合もあります。
治療の前には必ずコンサルを受けていただきメリット、デメリットについて十分にご理解いただきます。