タッカー・スタディクラブは創設者の故リチャード・タッカー先生が生涯にわたって研究されたゴールドを用いた虫歯治療について研鑽を積む勉強会です。世界中に70近い支部があり我々日本支部はアジア唯一の支部として活動しています。世界中でこれほど多くの支部をもつ歯科医師の団体はそう多くはないと思いますが、たくさんの歯科医師を魅了しているのはタッカー先生のお人柄と何よりも圧倒的に長持ちする虫歯治療を実践されていたことです。
ここにタッカー先生の症例をまとめた文献があります。
RETROSPECTIVE CLINICAL EVALUATION OF 1,314 CAST GOLD RESTORATIONS IN SERVICE FROM 1 TO 52 YEARS.
日本語に訳すと
「治療後1年から52年経過した1314例のゴールドを用いた虫歯治療に対する後ろ向き調査の臨床的検討」
調査方法は非常にシンプルでタッカー先生が治療された患者さんに直接連絡をとり実際にクリニックに来てもらい治療した歯の状態を調べ報告がされています。
この文献では実際に集まった患者数が60人、1314歯の調査が行われ実に95.4%の歯が問題なく使用できており、且つ72%の歯が調査時点で既に20年以上経過しており長期にわたって良好な状態が維持されていることが分かりました。
また、60人で1314歯ですから1人あたりの虫歯の数は20歯以上と決して虫歯のリスクが低い患者さんを故意的に集めて治療しているわけではないことが分かります。
この圧倒的な好成績は単純にゴールドという材料の優位性だけではありません、タッカーテクニックとよばれる材料の特性を最大限に発揮する様々な技術が盛り込まれています。次回からはゴールドの材料としての優位性、またそれを活かすテクニックについてご紹介していきます。